( INTERVIEW 01 )
美しさも癒しも
想いから生まれる。
植物療法士
森田敦子
アルペンローゼ株式会社
代表取締役
高橋浩史郎
「ラ・カスタ」誕生30周年を記念しての
スペシャル対談。
植物療法の本場フランスで学び、
我が国のフェムケアの第一人者でもある
森田敦子氏を迎え、女性の美容と健康、
さらには「ラ・カスタ」ブランドの原点、
長野県大町への想いを語る。
#01
植物の力に魅せられ
歩み始めて30年。
「ラ・カスタ」とともに。
- 高橋
-
森田さん、本日はよろしくお願いします。この国のフェムケアの第一人者として、また植物療法士のお立場からも貴重なお話しをお聞かせいただければと思います。
- 森田
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こちらこそ、よろしくお願いします。私としてもアルペンローゼさんにはご縁を感じていますので、楽しい対談になればと思っています。
- 高橋
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早速ですが、2026年に30周年を迎える「ラ・カスタ」の誕生から現在に至るまでの時代の流れを振り返ってみたいと思います。
「ラ・カスタ」は1996年に誕生しましたが、1996年はバブルの崩壊後で、日本は不景気の時代。ただでさえ働き過ぎだった日本人が、不景気の影響で心身ともに疲れ始めた時期でした。そして2000年代に入るとITやインターネットの普及でさらにデジタル疲れも、あとなんだろう…勝ち組負け組とかそんな言葉も出てきましたね。なんだか社会全体が新たなテクノロジーや競争によってすごく疲れているなと感じていました。
- 森田
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私が植物療法を学ぶためにフランスへ渡ったのが1992年で、帰国したのが1997年。ちょうど「ラ・カスタ」が誕生された頃になりますね。当時は、男女雇用機会均等法を背景に、女性の社会進出が本格化し始めた時代でした。その一方で、働き方やライフスタイルの変化に伴うストレスや、心身の不調が増えていくことも予想され、女性の健康を包括的に支える視点の重要性を強く感じるようになりました。
- 高橋
-
そうですよね。時代の流れのなかで女性が活躍する社会へと変化していったというのは、化粧品業界にとっても非常に大きなきっかけだったなと思っていて。自分自身のこころと身体に投資する、という価値観が広がる時代になりましたから。
- 森田
-
ええ、まさに女性のライフスタイルの転換期と言える時期でしょう。
私が女性の健康というものに関して仕事をしていこうと決めて事業を立ち上げたのが27年ほど前になります。女性の働き方が変わっていくなかで、女性の生き方や健康のことなど、今で言うフェムケアにフォーカスして事業を始めたのがちょうどその頃になりますね。
- 高橋
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その時代から更にさまざまな社会の変容があり、SNSの発展だったり、モノを消費することからコトを消費するというように消費行動の変化が生まれました。そうすると個人による情報発信の仕方や共有の仕方も変わり始めた。そして、コロナ禍が明けると今度は安心・安全や免疫など、サステナブルといったキーワードをより強く意識するようになったと思うんです。
振り返ってみると「ラ・カスタ」の誕生とともに歩んだ30年ってすごく波があって、時代が大きく動いた30年だったなって思うんです。
- 森田
-
この30年を振り返ると、社会の変化とともに、女性の健康課題も多様化してきたと感じます。不妊治療やストレスが要因となる不調、さらにはライフステージごとの健康課題など、向き合うテーマは年々広がっています。少子高齢化が進むなかで、女性一人ひとりが自分らしく、健やかに人生を重ねていける社会づくりに、微力ながら貢献したい。そんな思いで歩んできた30年だったと思います。
- 高橋
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当社のことを少し紹介させていただくと、もともと私どもは美容室専門のシャンプーやトリートメントのメーカーだったんです。ですので、品質にはとてもこだわりを持っていました。そして1986年にアロマテラピーと出合いまして、植物の香りだったり、その力というものに非常に感銘を受けまして、これをどうにか女性の美容や健康に役立てたいという思いから「ラ・カスタ」を誕生させたんです。
- 高橋
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1996年にアロマテラピーの理念を背景にした商品「ラ・カスタ」をローンチし、2006年には「ラ・カスタ ナチュラル ヒーリング ガーデン」を故郷の長野県の大町にオープンさせました。ここではブランドの世界観を体感でき、私どもが得意としている植物の香りをブレンドする調香体験も楽しめるんです。さらにその2年後の2008年には、ヘッドスパを併設した店舗を表参道にオープンし「ラ・カスタ式ヘアケア」の提唱をはじめました。
- 森田
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大町の「ラ・カスタ ナチュラル ヒーリング ガーデン」は、私も伺ったことがあるんですよ。
- 高橋
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ご来園いただけて嬉しいです。ありがとうございます。
- 高橋
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「ラ・カスタ」の誕生から30年という期間を振り返ってみると、改めてお客様はじめこのブランドに関わっていただいたお取り組み先様やビジネスパートナーの皆様、そして一緒に商品ひとつずつに、植物一株ずつに向き合ってくれた社員たちに本当に感謝でしかないですね。発売当初のヘアケアアイテムは5商品だったものが、今では商品数がおよそ160にまで増えていますから。多くの方に支えられてしっかりと歩んでこれた30年だったかなと思います。
#02
「自然との共生」。
その想いが息づく場所、
長野県大町。
- 森田
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私は偶然にも大町には25〜26年前から足を運んでいるんです。そこに知り合いのご夫妻がいらして、その方たちから大町で一般公開しているガーデンをやっているアルペンローゼという会社があって「ラ・カスタ」という商品を作っているのよと聞いていたんですね。
- 高橋
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そうなんですね。
- 森田
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北アルプスの清らかなお水や土壌が育む豊かな自然のなかから得られる植物を使った、まあ手のかかる商品を作ってらっしゃると聞いて、以前から尊敬にも似た気持ちを持っていたんです。
- 高橋
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そう言っていただけると嬉しいです。なんだかご縁を感じますね。
- 森田
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ええ、そうなんです。
- 高橋
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大町は私どもにとって本当に大切な場所で、生命線と言っても過言ではありません。先ほど紹介させていただいた「ラ・カスタ ナチュラル ヒーリング ガーデン」というブランドの世界観を発信している場所がありますし、「ラ・カスタ」というブランドの考え方と言いますか、哲学の源泉なんですね。
- 森田
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実際に「ラ・カスタ ナチュラル ヒーリング ガーデン」を訪れた際、美しく彩られた庭園も素晴らしいと思ったんですが、なにより「ラ・カスタ」の根源となる植物を育てている自社農園が近くにあるんですよね。で、そこで一番何に感動したかと言うと、土壌のことまで理解された専門家の方がいらっしゃって「ラ・カスタ」の原料となる植物を丁寧に作っている。育て方にこだわっていることにとても感動しました。
- 高橋
-
森田さんにそう言っていただけると嬉しいですね。「ラ・カスタ」は「植物の生命力と癒し」をブランドコンセプトにしています。ですので、成分であったり、香りというのは、やっぱり植物のものを使うべきだと考えていますし、昨今はトレーサビリティ※への関心が高まって、どこでどう作られたの?というところまで消費者の皆さんは興味を持たれています。なので、「ラ・カスタ」の誕生と一緒にオープンした自社農園で、私たちがどういう想いで一株一株真剣に向き合い、一生懸命作って商品にしているのかを知ってもらいたい。やはり一生懸命作ったものって、消費者の皆さんには伝わると思うので。そして環境に配慮した農法であったり、今ですとその自社農園の一部で有機JAS認証が取れたので、それをこれから商品に反映させていきます。
※商品の原材料の調達から生産、流通、消費、廃棄に至るまでの全工程の履歴を追跡・記録できる仕組みや状態のこと。
- 高橋
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私たちは植物から生命力と癒しという恩恵を受けていて、また恩恵を受けていることへの恩返しをしなきゃいけないという気持ちがあるので、森田さんのおっしゃっていた土壌のことまで考える姿勢、環境への配慮をこれからもつきつめていこうと思っています。
- 森田
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素晴らしいと思います。日本国内で原料生産に取り組む化粧品ブランドは増えていますが、アルペンローゼさんの取り組みは非常に徹底されていると感じます。環境への配慮やトレーサビリティへの姿勢は、これからの時代においてますます重要になりますし、その点でも大きな意義があると思います。
- 高橋
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森田さんに認めていただけたことは自信になります。そういえば、森田さんは大町で訪問看護ステーションをされていますよね?その活動についてお話しをお聞かせいただけますでしょうか?
- 森田
-
こんなこと言うとどうかなと思うんですけど、私は未来を見通す力が少しあるんですね。で、少子高齢化や女性の生き方の変化から訪問看護サービスが必要になるだろうなと思っていてゆくゆくはやってみたいと思っていたんです。そして、2003年頃から準備を始めて、今は愛知県と長野県と東京都の3カ所で訪問看護ステーションを開設しています。
- 高橋
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長野県の大町で開設された理由はどういったものだったんですか?
- 森田
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大町にはお世話になった方がいらっしゃって、でも高齢ということもあって仮に何かあっても訪問看護ステーションがあれば安心だなと。また大町は若者が外に出て行ってしまってご高齢の方が多いんですね。そうした状況に少しでも貢献できることはないかという想いから大町に開設しました。お庭に触れたり、山にも行ける。そんないつでも自然に触れられる環境だから、訪問看護ステーションを開設するにはとてもよい場所だと思いましたね。
- 高橋
-
植物との触れ合いには癒しの効果があると大学でも研究されているんです。植物療法を学ばれた森田さんの知見があればこそのご判断だったんでしょうね。
#03
事業を通じて
実現したい
今と、これから。
- 高橋
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最後に現在や将来のことに目を向けてお話ししたいと思うのですが、森田さんは今興味があったり、将来こんなことをやりたいという想いはありますか?
- 森田
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今後は訪問看護のサービスの充実や、次世代を担う人材の養育にも力を入れていきたいと考えています。でもやっぱりみんなが心を動かされワクワクするのは、美しいもの。その「美」っていうものが、すごく大事だなと思っています。日本ならではの美しさ、たとえば髪の美しさや丁寧なケアの文化は世界に誇れるものです。アルペンローゼさんの高品質なヘアケアが、国内にとどまらず海外へも広がっていくことを期待しています。
- 高橋
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嬉しいお言葉ですね。2008年にヘッドスパを併設した店舗をオープンして以来、私どもは2万人以上の頭皮を見てきました。その知見と日本のクオリティという形で、日本ブランドとして、ぜひ海外に向けて挑戦していきたいですね。
- 森田
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大町については何か新しい取り組みを考えてらっしゃいますか?
- 高橋
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大町については、地域課題への取り組みに力を入れたいと思っています。地域課題と言ってもさまざまな課題があるなかで、私どもは地域活性と自然環境を主軸に取り組みたいと思っています。ひとつは「ビューティ」。そしてもうひとつが「人と環境のウェルビーイング」です。地域活性については、「ラ・カスタ」の事業を通じて大町の外から人を集めるための入り口にならないといけないと思っています。それが「ラ・カスタ」の工場であったり、ガーデンであったり。
自然環境については、これまで続けてきた土壌への配慮や有機JAS認証の取得に加え、ガーデンを含めた周辺環境の保全にも取り組みたいと思っています。
- 森田
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アルペンローゼさんの取り組みが、大町の自然を守り、地域の活性化にもつながっていくことを願っています。今後もさまざまな形でご一緒できる機会がありましたら嬉しいですね。
- 高橋
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ありがとうございます。またご一緒できる機会を楽しみにしています。その時はよろしくお願いします。
- 森田
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こちらこそよろしくお願いします。
- 高橋
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本日はありがとうございました。